契約前の説明は何?重要事項説明について①
賃貸物件を借りた時や、建物を買った際にその建物、区画について説明を受けます。
実はこの説明は宅地や建物を業として取引する場合に必ず行わなければならないと宅地建物取引業法という法律で定められています。
この説明のことを重要事項説明といい、宅地建物取引業法では、第35条に規定されています。
重要事項説明の際に交付される書類のことを重要事項説明書といい、第35条に規定されていることから35条書面とも呼ばれることがあります。
また、重要事項説明は宅建士証の交付を受けたものしか行うことが出来ません。
では、この重要事項説明はどのような事を説明しなければならないのでしょうか?
◎重要事項説明
土地・建物の取引には、売買・賃貸の種類があります。説明事項はこの種類によって変わります。
全体的に説明していきますが、とても長くなるため2回に分けて説明していこうと思います。
〇登記された権利
これは、取引される物件の登記に関する内容です。所有者や抵当権の有無等が説明対象となります。
〇法令上の制限
宅地や建物については、その使用や収益又は処分を制限する公法上の制限が多いため、それを説明しなくてはいけません。
〇私道に関する負担にかかる制限
個人の所有地であるが、道路として提供しなくてはいけない土地などがある場合に説明が必要です。例えば、買った土地が100㎡であり、そのうち20㎡が私道負担の場合、その20㎡には建物を建てることが出来ません。
〇飲用水、電気及びガスの施設・整備状況
水道・電気・ガスといったライフラインに関しての説明です。
〇未完成物件の場合
ここでは、建物が未完成物件の場合、その建物の工事完了時の状況について説明しなくてはいけません。その建物の形状や構造について説明が必要です。
〇区分所有建物の場合
取引する建物が分譲マンションのような区分所有に関するものであった場合に説明が必要な項目です。
この場合、いくつか説明事項があります。
- 敷地利用権
敷地利用権とは、その建物の共有部分に関する利用権に関する事項です。ここでは、建物敷地にかかる権利の種類やその権利の内容を説明します。いわゆる所有者誰なのかということと、対象面積はどのくらいなのかを説明します。
- 共用部分に関する規約の定め
区分所有建物には、複数の部屋があり、複数の所有者・住居者が存在しています。その建物内でのルールを規約という形で定めています。
例えば、101号室を会議室として定めるというような規約がある場合、説明が必要です。また、この説明には「案」も含みます。その規約が案の状態であっても説明が必要です。
- 専有部分の利用の制限
これは、規約に専有部分の用途その他の利用の制限があった場合に説明が必要です。
例えば、ペットの飼育禁止など、専有部分での制限があった場合に説明が必要です。
- 専用使用権
一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者のみに使用を許す旨の特約がある場合に説明が必要です。駐車場等が例となり、共用部に属する場所ですが、特定の者が使用します。
- 修繕積立金や管理費
修繕積立金とは、その建物が老朽化や災害等によって修繕が必要な時の為に一定額を収めていくものになります。この説明時には、修繕積立金の額と現在積み立てられている額も説明しなくてはいけません。
また管理費とは、共用部の清掃や管理人などの費用等の為に必要なお金です。
- 管理費を特定の者にのみ減免する旨の規定
管理費を特定の者にのみ減免する旨とは、例えば分譲業者のことを言います。分譲業者が最初にマンション全部を所有している時点において公正証書で定める場合に限り、集会を経ずに単独で管理規約を設定することができます。
ここで分譲業者は売れ残っている区画(分譲業者が所有者となっている区画)の管理費や修繕積立金を免除する規約を規定することがあります。その場合に説明が必要です。
〇建物状況調査、建物の建築及び維持保全の状態に関する書類に関する事項
既存住宅の基礎や外壁等のひび割れなど不具合の有無を目視、計測等により調査するものです。重要事項説明では、実施の有無・その結果の概要・建物の建築・維持保全の状況に関する書類の保存状況を説明しなければなりません。
〇代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭
ここでは、売買だと手付金、賃貸だと敷金・礼金など代金・借金以外に授受される金銭に関して説明しなくてはいけません。
〇契約の解除に関する事項
ここでは、契約を白紙撤回する可能性について説明しなくてはいけません。
〇損害賠償の予定又は違約金に関する事項
賃貸では少ないですが、売買では、違約金に関する事項や損害賠償に関する事項が定められることが多いです。この場合、説明が必要です。
〇手付金等の保全措置の概要
不動産売買の手付金・中間金は完成済み物件の場合10%、未完成物件の場合5%を超える場合、又はその額が1000万円を超える場合、その手付金・中間金全てにおいて保全措置を講じなければなりません。
その保全措置に関しての概要の説明です。
長くなりましたので、今回はここまでとさせていただきます。
次回はこの続きから説明していきます。