民法に関する相続の順位と遺留分
皆さんは相続に関してどれだけご存じでしょうか?
言葉の意味としては皆さんもご存じの通り、亡くなった人の遺産をもらうことを相続と言います。
しかし、この相続には複雑な面もあり、知っておくことで自分の身を守ることもあります。
今回はそんな相続に関してみていきます。
◎相続とは
相続とは前記した通り、相続とは亡くなった人の遺産をもらうことです。
この相続を民法では、「被相続人から相続人に対する財産上の権利義務の継承」と定義されています。
つまり、相続で継承されるものには不動産や財産といったプラスの価値があるものだけでなく、借金などの負債もあるということです。
しかも相続を承認する場合、価値のあるものだけ相続ということはできず、負債がある場合は負債も相続しなくてはいけません。
しかし、その場合負債の方がその他プラスの価値があるものより大きい場合、相続そのものを断りたいと思うのも当然です。
そのため、民法では相続に関して「放棄」「単純承認」「限定承認」の3パターンを設けています。
また、この3つのパターンのうちのどれかを自己のための相続の開始があったと知った時から3ヶ月以内に選択しなければなりません。
〇放棄
放棄は相続の放棄のことを言い、相続そのものをしないというものになります。
そのため、負債だけでなくプラスの価値があるものも継承することが出来ません。
〇単純承認
単純承認は相続人が被相続人の財産上の権利義務を全て継承することです。
ようするに、単純に全て相続するということです。
〇限定承認
限定承認はプラスの遺産の範囲内で、負債も相続するという方法です。これは、プラスの遺産と負債のどちらが多いのかはっきりしない場合などにおすすめできます。
例えば、プラスの遺産が2000万円、負債が5000万円であった場合は、2000万円の資産と同額の負債を相続します。残りの3000万円の負債を相続する必要はなく、逆に結果的にプラスが上回った場合は、それを相続できます。
◎相続の順位
では、そんな相続のルールを見ていきましょう。
ここで明らかにしていくものは、「誰が相続人になるのか」「それぞれの相続人がどれだけの割合を相続するのか」の2点を見ていきましょう。
〇誰が相続人になるのか
まず、「だれが相続人になるか」ですが、まず配偶者(妻または夫)は常に相続人となります。
そして、配偶者以外の相続人には以下があります。
〇子供や孫
〇父母や祖父母
〇兄弟姉妹
上記の相続人には順位があります。
その順位は
第1順位、子供や孫
第2順位、父母や祖父母
第3順位、兄弟姉妹
となります。
例えば、亡くなった人の遺族として父と子供がいる場合、第1順位である子供が相続人となり、第2順位の父は相続人となれません。
配偶者がいる場合は、配偶者は常に相続人となり、その他相続人となりうる人がいる場合は配偶者と順位が一番若い人が相続人となります。
例えば、亡くなった人の遺族として妻と父と子供がいる場合、相続人は妻(配偶者)と子供(第1順位)となります。
このように配偶者以外の遺族によって相続人は変わってきます。
その際の相続分は以下のように定められています。
配偶者のみ・・・遺産の全て
配偶者と子・・・遺産の1/2ずつ
※子が複数人いる場合は、配偶者1/2・子1/2を分配
配偶者と親・・・配偶者2/3・親1/3
※親が2人いる場合は、配偶者2/3・親1/3を分配
配偶者と兄弟姉妹・・・配偶者3/4・兄弟姉妹1/4
※兄弟姉妹が複数人いる場合は、配偶者3/4・兄弟姉妹1/4を分配
以上のように分配することが決められています。
◎遺留分
では、亡くなった方が生前に遺言を残していた場合、どうなるのでしょうか?
遺言で不公平な遺産分割の方法が残されていたら、誰でも納得できないものです。そんなときには、遺言によって多く財産を譲り受けた人に対し「遺留分」を請求できる可能性があります。遺留分とは、「一定範囲の相続人に認められる最低限度の遺産取得割合」です。
遺留分が認められるのは、以下の相続人です。
〇配偶者
〇子・孫
〇親・祖父母
以上の相続人には遺留分が認められる可能性があり、遺言に通常相続人なりえない第三者が相続人となる旨が記されていた場合でも、相続人になる可能性があります。
この場合の順位と相続分は以下となります。
〇遺言で相続人となった者・配偶者・子
遺言で相続人となった者1/2・配偶者1/4・子1/4
〇遺言で相続人となった者・配偶者・被相続人の父母
遺言で相続人となった者1/2・配偶者1/3・被相続人の父母1/6ずつ
〇遺言で相続人となった者・子
遺言で相続人となった者1/2・子1/2
〇遺言で相続人となった者・父母
遺言で相続人となった者2/3・父母1/3
以上のようになります。
相続について確認しておくことによって、実際直面した際に少しでも多くの財産上の権利義務を継承できる可能性があります。
そのため、相続の知識を頭の片隅にでも入れておくとよいでしょう。