要確認!!そのエアコン「設備」?「残置物」?
◎物件を借りる前に要確認
物件を借りる時に「設備」や「残置物」といった言葉を聞いたことはないでしょうか?
普段はなかなか耳にしない言葉ですが、テナントや倉庫、住居を賃貸するときも良く出てくる言葉です。
例えば、エアコンは「設備」と「残置物」で分かれることの多い物です。
その言葉をよくわからず、そのまま聞き流し、入居後に管理会社やオーナーとトラブルになることも少なくありません。
◎「設備」と「残置物」
では、その「設備」と「残置物」について詳しく見ていこうと思います。
- 「設備」
インターネットで「設備」と調べると、「必要な建物・器具・装置などを備え付けること。また、備え付けたもの。」(Weblio辞書より)等のように出てくるが、不動産賃貸で扱う「設備」とは、物件の付帯設備のことを言い、貸主が使用できるように借主に提供しているものになります。
すなわち、元々オーナーが用意したものを借主が借りて使っている状態です。
この場合、借主原因でない(経年劣化など)不具合などは、オーナーが対処するものになります。
例えば、排水管や給水管の埋設部分からの水漏れなどは、借主原因とはならない経年劣化による設備不良のため、オーナーが修理を行います。
- 「残置物」
残置物とは、その物件を賃貸していた前借主が置いていった物を差します。しかし、オーナーが用意したものでも残置物として扱われる場合もあります。
残置物の場合、所有権はオーナーにありますが、賃貸後のメンテナンスや修理は借主が行わなければなりません。
この場合、借主の過失の有無に関係なく借主が修理を行います。
躯体などの建物主要部分に関するもので残置物となることはありませんが、エアコンやキッチンなどは、残置物となっていることも多いです。
〇上記をまとめると、、、
「設備」は借主原因でないトラブルはオーナー負担、「残置物」は借主の過失に関係なく借主が修理を負担しなくてはいけません。
◎例
それでは、今までに私が見てきた物件で「設備」と「残置物」の例を見ていきましょう。
- 大阪南部の1戸建て店舗・事務所
この店舗・事務所は室内の改装もきっちり行われていました。住居が可能なほど設備が整っており、トイレ・キッチンはもちろんお風呂や洗面台もありました。
この物件では、トイレ・お風呂・洗面台・キッチン等の生活に必要なものは「設備」でした。
しかし、エアコンはオーナーが用意したものの「残置物」扱いとなりました。
この物件のエアコンは1階に業務用1台・2階に壁かけ2台となっており、全て「残置物」となりました。
- 大阪北部の1戸建て店舗・事務所
この物件は、改装は行われておらず、現状渡しで募集されていました。トイレ・お風呂・キッチンなどがあり、住居も可能な物件です。
ここでは、躯体など建物の核となる部分以外は全て「残置物」となりました。
すなわち、トイレ・お風呂・キッチンなども「残置物」となったということです。
その代わり、改装は借主で自由に行ってよいという形となりました。
- 大阪北部の3階店舗
この店舗は、テナントビル3階建ての3階部分でした。以前の借主がお風呂を作り、内装もされていたため、住居も可能なつくりとなっていました。
この物件では、トイレ・キッチンはもちろん、エアコンも「設備」となりました。
このように、室内の物でも「設備」と「残置物」という扱いの違いのみで、入居後の対応が大きく変わってきます。特にエアコンは、1台のみ「設備」で他の数台は「残置物」になるなど、エアコンによって対応が変わる場合もあります。
このような場合、賃貸後の設備トラブルを借主とオーナーのどちらが対応するかという問題に発展しかねません。
上記のような問題に発展した場合、賃貸借契約書又は、契約までに交付される重要事項説明書に記された通りに「設備」か「残置物」かを判断し、どちらの負担になるかを決します。
この重要事項説明書が交付される際に、書面の内容について重要事項の説明があるはずです。この時、物件の「設備」と「残置物」について説明があるはずですので、しっかり確認しておきましょう。