その物件は飲食業営業可能?完了検査済証とは
◎検査済証
検査済証とは、建物が設計図通りに作られているかの検査に合格した際に交付されるものです。
まず建築物を建築する際には「建築確認」を受ける必要があります。
「建築確認」を受けるにあたって、建築計画を図面や文章で作成します。
この建築計画が建築基準法をはじめとする法令に適合しているかを審査してもらう必要があり、その審査を「建築確認」と言います。
「建築確認」が受理されて初めて工事着工が可能です。
工事着工後は一定の建物において「3階以上のRC造共同住宅の床・はりの配筋工事の工程及び特定行政庁が指定した工程」(※国土交通省 資料6 建築確認検査制度の概要より)を終えた際に「中間検査」が行われます。
そして建築完了後には、全ての「建築確認」が行われた建築物において「完了検査」が行われます。
「完了検査」は建築物が「建築確認」を受けた建築計画に沿って建築されているかの検査を行うもので、この検査に合格した際に交付されるものが「検査済証」となります。
◎検査済証がない場合の弊害
「建築確認」を受けた建築物は全て「完了検査」を受けるはずです。
しかし、「完了検査」を受けずに使用を開始する、又は「完了検査」を受けはしたが、合格しなかったため、そのまま使用を始めている建築物もあります。
この場合、その建築物は違法建築となる場合が大半です。
上記以外にも「検査済証」は交付されたが、持ち主が紛失している場合もあります。
このように「検査済証」がない場合、どのような弊害があるのでしょうか?
〇「検査済証」がない場合に起こる弊害
- 融資が降りにくい
- 用途変更ができない(200㎡以下の規模や類似用途変更は除く)
- 旅館業・飲食業・介護関係・一部児童福祉関係等の営業許可が取れない
- 増改築ができない(防火指定外の地域における10㎡未満の増築を除く)
- 大規模修繕・模様替えができない(4号建築物を除く)
対象の建築物に「検査済証」がない場合、上記の弊害が考えられます。
この中でも特に皆さんに直結してくるのは、営業許可の件でしょう。
気に入った物件・最適な立地に出会ったとしても、そこで開業できなければ意味がありませんよね。
◎「検査済証」が無い場合
「検査済証」が無いと持ち主に言われた場合、その理由によっては飲食店などを開業可能の可能性があります。
〇「検査済証」を一度は交付されたが、紛失等により今は無い場合
この場合、一度は「完了検査」に合格していることになりますので、役所の建築指導課に行き、「台帳記載事項証明書」を取得し確認検査機関でこの旨を説明すれば、問題ないはずです。
〇元々発行されていない場合
この場合、基本的には前項の弊害にあたる項目は全て不可能になります。
しかし、確認検査機関と建築士によって「建築確認」申請通りに建物が建っているかを確認し、問題がなければ用途変更等が可能となります。
しかし、この確認にはかなりの費用が必要となりますので、基本的にはおすすめしません。
旅館業や飲食業、介護関係、一部児童福祉関係等の業種で開業・新規展開をお考えの方は、「検査済証」をキーワードに物件を探してみましょう!!