不動産の契約書には何が書かれているの?不動産契約書への記載事項

不動産契約には、賃貸の場合も売買の場合もほとんどの場合契約書が発行されます。

この契約書は不動産屋さんの中で宅地建物取引業法の37条書面とも呼ばれます。

実際はこの契約書と37条書面は別のものですが、37条書面の交付は契約書の交付にかえることができます。

 

契約書は契約後遅滞なく契約者双方に不動産業者が交付します。

契約者双方と言いましたが、契約者の一方が宅建業者の場合等その契約の形態によって交付者や交付しなければいけない相手方が変わります。

 

では、この契約書にはどのような記載事項があるのでしょうか?

〇絶対記載事項

以下の6つは不動産契約書に絶対記載される項目になります。

  • 当時者の氏名・住所

こちらは言わずもがなですね。売買・交換、賃貸どちらでも記載事項になります。

貸主・借主、買主・売主の氏名と住所が記載されます。

  • 土地建物を特定するために必要な表示

こちらは住所や番地等のことです。

こちらも売買・交換、賃貸関係なく記載しなくてはいけません。

住所や号室等記載されていなければ、買主、借主は本当にその場所で契約ができているか不安でしょうし、契約後も心配でしょう。

  • 既存建物の場合、建物の構造上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項

こちらは、建物状況調査(インスペクション)に関する事項です。

こちらはインスペクションの有無と行った場合、その内容を記載しなければいけません。売買・交換の際には記載しなければなりません。

  • 代金・交換差金・賃借の額・支払期日・支払方法

こちらは契約内容に欠かせない部分です。

金銭の授与等に関する事項です。

  • 宅地建物の引き渡しの時期

こちらは、売買・交換、賃貸どちらも記載しなければなりません。

賃貸の場合、入居時期が記載されます。

  • 移転登記申請の時期

こちらは所有権移転の登記に関する事項です。所有権が移転するので、売買・交換の際に記載しなければなりません。

 

〇相対的記載事項

以下の7つの事項はその定めがあるときに記載が必要になります。

  • 代金・交換差金、賃貸以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額、授受の時期、目的

こちらは、賃貸では敷金・礼金等に関する事項です。

その定めがある場合に売買・交換、賃貸どちらも記載が必要です。

  • 契約の解除に関する定めがあれば、その内容

こちらも売買・交換、賃貸どちらも定めがある場合、記載が必要です。

例を挙げるとすれば、クーリングオフに関して等の事項を記載する必要があります。

 

  • 損害賠償額の予定または違約金に関する定めがあればその内容

不動産の契約では、損害賠償請求額の予定または違約金についてあらかじめ定めておくことができます。

この定めがある場合、その内容を記載しなければなりません。

  • 代金または交換差金についてローンのあっせんの定めがあるときは、ローンが成立しない時の措置

こちらは、売買・交換代金に関して、ローンを使用する場合に記載が必要です。

代金に関してというように、賃貸の契約書には記載不要です。

  • 天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときは、その内容

こちらは、対象の物件や土地が自然災害によって使用不能等に陥った際の決めごとです。

定めがある場合に記載が必要です。

  • 宅地もしくは建物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置について定めがあるときは、その内容

こちらは契約に関してその内容に不適合な部分があった場合の補償に関する事項です。

こちらは賃貸の場合には記載は不要で、売買・交換の際に定めがある場合、記載が必要です。

  • 宅地または建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容

固定資産税や都市計画税などの分担割合などその他定めがある場合は記載が必要です。

固定資産税や都市計画税が関わってくるものは、売買・交換のみですので、賃貸の場合は記載の必要はありません。

 

不動産契約書は専門用語が多く、理解しにくい点もあります。

しかし、売買・交換、賃貸にとって契約書はお互いに合意した証明となるものです。

契約書をしっかり理解し、必要であれば事前にテンプレートを不動産屋さんに貰い、読んでおくことをおすすめします。