土地の価値を上げる?土地区画整理法とは

土地区画整理法とは、土地の形を整えたり、公園を作るなどして街並みを整理するための法律です。

土地区画整理事業は都市計画区域内の土地について公共施設の整備改善、宅地の利用増進を図る為に行われる土地の区画形質の変更、公共施設の新設・変更に関する事業をいいます。

土地区画整理事業は減歩や換地処分によって行われます。

  • 減歩

減歩とは、公共施設の整備等の目的で、土地の所有者から土地の一部を無償で提供してもらうことを言います。

  • 換地処分

換地処分とは、土地区画整理事業の工事終了後、従前の宅地に換えて新しい土地を交付することです。

 

この土地区画整理事業の施工者になることができるのは次の者です。

  • 個人施工者

宅地の所有者・借地権者・これらの同意を受けた者

一人施工の場合は規準を、共同施工の場合は規約を作成し、それに加えて事業計画を定め、その施工について都道府県知事の認可を受けなければいけません。

  • 土地区画整理組合

宅地の所有者、借地権者が7人以上で共同して組合を設立します。

定款と事業計画を定め、その組合の設立について都道府県知事の認可を受けなければいけません。

組合設立の認可にあたって定款・事業計画について施工地区となる区域内の宅地所有者、借地権者の各2/3以上の同意が必要です。

また、施工地域内の宅地の所有者、借地権者は全員、組合員となります。

  • 区画整理会社

土地の所有者、借地権者を株主とする株式会社で、一定の要件に該当する者が施工可能です。

規準と事業計画を定め、その施工について都道府県知事の認可を受けなければいけません。

  • 公的施工

地方公共団体、国土交通大臣、独立行政法人、都市再生機構、地方住宅供給公社が施工する場合です。

 

ちなみに土地区画整理事業には、都市計画事業であるものとないものがあります。

上記3つのような民間施工の場合は、都市計画事業のものであろうがなかろうが施工が可能です。しかし、最後の公的施行の場合は、都市計画事業でないものは施工できません。

〇換地計画

施工者は換地計画を定めなければいけません。

また、施工者が都道府県知事・国土交通大臣以外である場合は、都道府県知事の認可を受けなければなりません。

 

換地計画で定めるものは以下のようなものがあります。

  • 換地

換地とは、従前の土地に代わって交付する土地のことを言います。

この換地について定めなければいけないのですが、従前の宅地と条件が同じようなものでなければなりません。(位置・地積・環境等)

これを換地照応の原則と言います。

また、宅地の所有者の申し出又は同意があった場合、換地計画に換地を定めないことができます。

  • 清算金

換地に関して換地を定めない等不均衡が生じる場合には金銭により精算されます。これを清算金と言います。

清算金はその額を換地計画に定めます。

換地によって損をする人には清算金が交付され、得をする人からは清算金を徴収します。

  • 保留地

施工者は次の目的の為、保留地を定めることができます。

保留地とは、換地とは定めずに換地処分の翌日以降施工者が保有することとなる土地です。

・民間施工の場合、①土地区画整理事業の施工費用に充てるため②規準、規約、定款で定める目的の為の2つの目的で保有することが可能です。

・公的施工の場合、土地区画整理事業の施工費用に充てるために定めることができます。

しかし、その保留地について、施工前より施工後の方が価値が高くなる土地にのみ保留地を設定できます。

 

建築行為等の制限

土地区画整理事業が開始されると、事業が円滑に進むために、その区域内の建築行為が規制されます。

土地区画整理事業の認可があった日以後施工区域内にて

・事業の施工の障害となる恐れがある土地の形質変更

・建築物その他の工作物の新築・改築・増築

・重量が5トンを超える物件の設置・堆積

以上の3点を行おうとするものは、国土交通大臣が施工する場合は国土交通大臣に、その他の場合は、都道府県の知事に許可が必要です。

また、市の区域内において、個人施工者・組合・区画整理会社が施工し、又は市が施工する場合は当該市の長の認可が必要です。

〇仮換地の指定

施工者は必要がある場合は換地処分を行う前に仮換地を指定する事ができます。

仮換地の指定はその仮換地の所有者と従前の宅地の所有者に対して一定の事項を通知して行います。

仮換地を指定する場合に必要な手順は以下のものとなります。

  • 個人施工者

従前の宅地の所有者や仮換地となるべき宅地の所有者等の同意が必要

  • 土地区画整理組合

総会等の同意が必要

  • 区画整理会社

施工区域内の宅地について所有権を有するすべての者及び借地権を有するすべての者の各2/3以上の同意が必要です。

  • 公的施工者

土地区画整理審議会の意見を聞く必要がある。

 

〇仮換地が指定された場合の効果

通常の場合、仮換地が指定された場合は、仮換地の指定効力発生日から換地処分の公告日まで従前の宅地の所有者等は仮換地について使用収益することができます。

従前の宅地の使用収益は出来ません。しかし、処分・売却・抵当権の設定は従前の土地で行うことができます。

一方、仮換地の所有者は当該仮換地について使用収益できません。

しかし、処分・売却・抵当権の設定は仮換地にて行うことができます。

また、必要がある場合、仮換地の指定日と使用収益開始日を別に定めることができます。

この場合、従前の宅地の所有者は指定日と使用開始日の間において、従前の宅地も仮換地の使用収益することができません。従前の土地については、処分等は可能です。

〇換地処分

換地処分は原則として、換地計画に係る区域の全部について工事が完了した後に行います。

例外として、規準、規約、定款に別段の定めがある場合、工事の完了前でも換地処分を行うことができます。

換地処分は関係権利者に対して換地計画で定められた事項を通知して行います。

換地処分があった場合、都道府県知事(国土交通大臣が施工の場合は国土交通大臣が)は換地処分があった旨を公告しなければなりません。

 

〇換地処分の効果

換地処分があると、広告の日に消滅するものと、広告の次の日から生じるものがあります。

  • 広告の日に消滅するもの

・換地を定めない従前の宅地に存する権利

・事業の施工により行使する利益がなくなった地役権

  • 広告に日の次の日に生じるもの

・換地計画において定められた換地は従前の宅地とみなされる

所有権や地上権が移動する

・通常の地役権は従前の宅地に存する

地役権のみ従前の宅地上に存続します。

・保留地は施工者が取得

・清算金が確定する