土地区画整理事業~換地について

◎土地区画整理事業

あまり馴染みがないかもしれませんが、土地区画整理事業とは、「都市計画区域内の土地について公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るために行われる、土地区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業」と土地区画整理法で定められています。

 

例えば、道路が狭く建物が無秩序に立て並んだ町並みでは災害時や緊急車両の進入などに安全面等で問題が出てきます。

このような状態を改善するために道路や公園、上下水道などの施設を整備するとともに不正備な土地の形状を整えます。

このように使い勝手の良い街を作る事業が土地区画整理事業です。

私の住んでいた奈良県では、10年ほど前にJR奈良駅周辺で「無秩序な市街化の進行による市街地環境悪化の防止」を目的として、土地区画整理事業を行いました。

今では、住宅が立ち並び、道も広くなっています。

当然、土地区画整理事業を行った後は、土地の価値が上がります。

 

しかし、メリットだけではありません。

道路等を整えるため、権利者の人から土地を少しずつ提供してもらい、施工していきます。

土地面積としては減りますが、価値が上がる為、損失補償は行われません。

このことを、減歩と言います。

利用増進の度合いなどによる不均衡については金銭精算が行われます。

◎換地

この施工後に与えられる土地のことを換地と言います。

換地は「換地計画」によって従前の土地の状況などと照らし合わせ定められます。

換地を定めることを換地処分と言い、換地処分の広告の翌日から、換地に建物を建てたり、水道等の設備を利用することが可能です。

換地処分が行われると、従前の土地と同じ権利が換地に対して与えられます。

よって、従前地にある制限等も同様にかかってきます。

 

ちなみに、工事が完了したところから順にその土地を使用開始することができる制度があります。

この場合に使用できる土地を仮換地と言います。

仮換地は工事後正式な換地として割り振られるため、仮換地に建築物等を建築してもそのまま使用が可能になります。

 

◎保留地

このような区画整理において、誰のものでもない土地が出てきます。

この誰のものでもない土地を「保留地」と言います。

保留地を売却し、その利益を工事費に充てるのが一般的な流れです。

この保留地は、区画整理後であるにもかかわらず、比較的安く販売されます。

しかし、工事が終わるまでの間は登記を行うことができないため、抵当権の設定等ができません。