契約前の説明は何?重要事項説明について②

前回は重要事項説明に関して、「手付金等の保全措置の概要」まで説明しました。

売買において重要度が高く、手付金や中間金などの保全措置に関する事項でしたね。

詳しくは前回のコラムをご覧ください。

 

今回はこの続きから説明していこうと思います。

〇支払金又は預り金の保全措置を講ずるかどうか及びその措置を講ずる場合の措置の概要

この支払金又は預り金というものは、手付金や報酬などを除いた建物代金や交換差金、借賃、権利金などのことを言います。

名目は何であれ、お金を受け取るときは保全措置を講ずるかどうかとその概要を説明しなくてはいけないということです。

また、この保全措置は50万円未満のものは除かれています。

ちなみに、この支払金又は預り金に関する保全措置は、手付金と異なり保全措置を取ることを義務付けられてはいません。

保全措置を講じていない場合は、講じていない旨を説明すれば足ります。

 

〇代金又は交換差金に関する金銭の賃借のあっせん内容等

これに関しては、要するにローンのあっせんになります。

この説明内容には、ローンのあっせんに関して以外にもあっせんにかかる金銭の賃借が成立しないときの措置も説明しなくてはいけません。

 

〇国土交通省令で定める事項

ここに関しては、建物と土地それぞれについて、売買・交換の場合と賃借の場合が規定されています。

すなわち、契約によって説明事項が変わってくるということです。

ひとつずつ説明していき、最後に票にまとめたいと思います。

 

1、宅地造成等規制法により指定された造成宅地防災区域内か否か

宅地造成に伴うがけ崩れ等の防止を目的とした地区内かそうでないかを説明します。

2、土砂災害警戒区域内か否か

土砂災害から人を保護するためにその警戒が必要な土地に指定されているかどうかを説明します。

3、津波災害警戒区域内か否か

こちらも津波による災害を警戒する必要がある土地に指定されているかどうかを説明しなくてはいけません。1・2・3は宅地であろうと建物であろうと売買・賃貸関係なく説明が必要です。

4、石綿の使用の有無の調査の有無

石綿とは、いわゆるアスベストのことです。その対象物件にアスベストが使われているかの調査の有無・調査結果がある場合はその内容を説明しなくてはいけません。

5、耐震診断の有無

こちらは、昭和56年5月31日以前に新築された対象物件に関して、耐震診断の有無・行った場合、その内容を説明しなくてはいけません。4・5は建物の取引の場合、売買・賃貸関係なく説明が必要です。

6、住宅性能評価の有無

こちらは新築住宅の売買・交換の際にのみ説明が必要になります。

一定の性能を有する住宅だということを評価して保証する制度です。

7、台所・浴室・トイレその他の設備の整備状況

こちらは、建物内の設備に関する事項です。実際に建物内に台所があったとしても、それが残置物であると言われると、それは設備ではなくなります。

この部分は建物の賃貸の場合に説明が必要です。

建物賃貸の場合の設備とは、故障などの場合、修理費等を家主が負担します。そのため、台所等が設備であるかどうかが大切になってきます。

8、契約期間及び更新に関する事項

こちらはその名の通り、期間・更新にかかる事項です。

期間や更新からわかる通り、土地・建物の賃貸借の際に説明が必要です。

9、定期借地権、定期建物賃貸借、高齢者の住居の安全確保に関する法律の終身建物賃貸借

こちらは、上記の契約に当てはまる場合に説明が必要です。

こちらも定期賃貸借からわかる通りに、土地・建物の賃貸の際に説明が必要です。

10、宅地又は建物の用途その他の利用にかかる制限に関する事項

一戸建ての賃貸の場合でもペット不可などの規定はあります。そのような規定を説明しなくてはいけません。

こちらも土地・建物の賃貸の際に説明が必要です。

11、契約終了時に精算することとされている金銭の精算に関する事項

これは敷金などの預り金等の精算に関する事項です。

こちらも賃貸でのみ説明が必要です。

12、宅地又は建物の管理委託を受けている物の氏名及び住所

管理会社や管理者の氏名(社名)や住所になります。

管理者というようにこちらも賃貸でのみ説明が必要です。

13、契約終了時における当該宅地の上の建物取壊しに関する事項

宅地上の建物の取り壊しに関する事項です。

宅地の賃貸借の際にのみ説明が必要です。

〇担保責任に関する保証保険契約等の措置とその概要

こちらは売買の際に説明が必要になります。

目的の土地・建物が契約の内容に適していなかった場合に、その不適合を担保すべき責任に関しての説明です。

契約不適合責任に関しては、以前コラムでまとめていますので、そちらをご覧ください。

 

〇割賦販売の場合

こちらは分割払いの場合の説明事項です。

割賦販売の場合以下の3点を説明します。

  • 現金販売価格
  • 割賦販売価格
  • 宅地又は建物の引渡までに支払う金銭の額及び割賦金の額並びにその支払いの時期及び方法

 

〇水害ハザードマップにおける当該土地の所在地

2020年8月28日より、全ての重要事項説明時には各市町村の長が提供するハザードマップに当該土地がどのように記載されているかを説明します。

 

 

以上のように重要事項説明には様々な説明事項があります。

どれも買主・借主にとっては重要なものになります。

そのため不動産会社もしっかりこれらを調べ、作成しています。

賃貸・売買関係なく必要な部分をしっかり聞いておきましょう。