宅地建物の売買に適用!8種制限とは?

宅地や建物の売買に際し、売主が宅地建物取引業者であり、買主が宅地建物取引業者でない場合に売主側に課せられる制限が8つあります。

この8つの制限を8種制限と言います。

 

この8種制限は不動産のプロである宅地建物取引業者から素人である買主を守るための制限です。そのため、宅地建物取引業者間の宅地建物取引にはこの制限は課せられません。

8種制限は、以下の8つになります。

 

  • クーリングオフ制度
  • 損害賠償額の予定等の制限
  • 手付額等の制限
  • 自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限
  • 手付金などの保全措置
  • 割賦販売特約の解除等の制限
  • 所有権留保などの禁止
  • 契約不適合責任の特約制限

 

以上の8つの制限について簡単に説明していきます。

 

〇クーリングオフ

クーリングオフは買主が一定の条件に該当しないときに、すでに締結した契約を解除できる制度です。

一定の条件とは、申込場所の要件と時間的な要件があります。

申込場所は「業者の事務所や土地に定着する建物内に設けられた案内所、継続的に業務を行うことができる事務所、土地に定着した展示会」のような場所で申し込みを行った場合はクーリングオフできません。また、買主が指定した買主の自宅や勤務先で申込した場合もクーリングオフできません。

時間的な要件とは、「宅建業者から書面でクーリングオフの説明をされた日から8かを経過した時や買主が物件の引き渡しを受け、かつ代金全額を支払った時」はクーリングオフできません。

この一定の要件に当てはまる場合は、クーリングオフによる解除は出来ません。

 

〇損害賠償額の予定等の制限

不動産の損害賠償額は大きくなることがあります。そのため、損害賠償額に関してトラブルになることがあります。

そのため、事前に損害が発生した場合の損害賠償額を決めておくことができます。

また、この損害賠償額の予定と違約金を合わせて代金の2/10(2割)までとしています。

この予定額が2割を超えた場合は、超えた分が無効となります。

 

〇手付金等の制限

手付金とは、契約が成立したことの確認のために買主から売主に支払われるお金で、代金の一部として扱われます。また、手付金は代金の2/10(2割)を超えてはならないとされています。

この手付金の中の解約手付について、8種制限では制限を課しており、契約を解除する場合に買主からの解除であれば、手付金を放棄して、売主からの解除であれば、手付金の倍額を返還することで解約が成立するとしています。

 

〇自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限

他人が所有している物件や未完成物件の2つに該当する建物は自己所有に属さない物件となります。

民法では他人物売買は認められていますが、宅建業法ではこれらの物件を売買することは禁止されています。

しかし、他人が所有する物件の場合、その物件を宅建業者が取得する契約や予約をして入れば、その建物について売買契約を結ぶことができます。

※停止条件付契約の場合は契約を行うことが出来ません。

また、未完成物件の場合は保全措置が保全措置が講じられている場合は契約が可能です。

 

〇手付金などの保全措置

不動産契約に伴い、手付金を支払ったが、宅建業者が倒産してしまった場合、手付金を取り戻せない可能性があります。そのリスクを防ぐために、一定の金額以上の手付金を受け取る前に、宅建業者は銀行と保証契約を結び、銀行等の保証を受けることができる体制を作らなければなりません。

この手付金の保全措置に関する一定以上の金額とは、取引対象物件が未完成物件か否かで分かれます。

未完成物件の場合・・・代金の5%を超える又は1000万円を超える手付を受け取る場合に保全措置が必要です。

完成物件の場合・・・ 代金の10%を超える又は1000万円を超える手付を受け取る場合に保全措置が必要です。

また、買主に所有権移転の登記をした場合は手付金の保全措置を講ずる必要はありません。

この保全措置には種類があり、①銀行等による保全措置②保険会社との保証契約③指定保管機関による保管の3つのがあります。

この①と②は完成物件・未完成物件両方で使用できますが、③は未完成物件の場合は使用できません。

 

〇割賦販売特約の解除等の制限

割賦販売とは要するに分割払いのことです。

分割払いの際に、何らかの事情で支払いが1回遅れただけで契約が解約になってしまっては、買主に不利です。そのため、割賦販売において割賦金の支払い場ない場合、30日以上の期間を定めて書面で催告しなければなりません。この期間中は、契約解除などは行えません。

 

〇所有権留保などの禁止

所有権留保とは、代金支払いが終わるまで所有権を買主に移転せず、売主にとどめておくことです。

原則割賦販売を行った場合は、その物件を引き渡すまでに所有権移転登記を行わなければなりません。また、宅建業者が受け取った代金が3/10以下の場合や3/10を超えて受け取っても、残代金について買主が担保措置を講じる見込みがない場合は所有権を移転しなくても良いです。

 

〇契約不適合責任の特約責任

こちらは以前民法改正のコラムで説明している契約不適合責任についての特約制限になります。

売主は責任追及期間につき、引渡の日から2年以上とする特約を講ずることは可能ですが、これより売主に不利になる特約は無効です。

また、履行の追完請求など契約不適合責任については、細かな部分がある為、以前のコラムを参考にしてみてください。

 

以上宅建業者が売主になる場合に課せられる8つの制限に関して説明していきました。

この制限はあくまで宅地建物の売買に適用され、買主側が宅建業者の場合はこの制限はありません。

宅建業法を理解して売買契約に臨みましょう!