2020年民法改正 時効について

皆さんの時効という言葉に関してのイメージはどのような者でしょうか?

「刑事事件などで犯罪者が長時間逃げていると逮捕が出来なくなる」などでしょうか?

テレビやドラマでよく扱われるこの時効という制度は、実はこのような刑事事件だけではなく、借金などの債権・債務にも関わってきます。

今回はそんな時効についてみていこうと思います。

◎時効

まず時効とは、長い間続いた事実状態を尊重し、その状態が法律的に正当でなくても、これを正当な法律状態と認めることをいいます。

つまり、法律に違反する出来事に関して、長時間にわたり権利関係等の主張をしない場合、その出来事をなかった事にするということです。

そして、この時効には「取得時効」と「消滅時効」があり、それぞれ一定期間継続したことによって、権利が取得・消滅します。

 

〇取得時効

取得時効とは、他人の所有物を占有していた人に、一定期間所有後、その所有を認めるものです。

代表的なものとしては、不動産の取得時効になり、この不動産の取得時効は自分に所有権があるとお思い込み、そう思い込むことに過失がなければ、10年で取得時効が成立します。

他人の所有物だと自覚していた場合でも、この取得時効は20年経過で成立します。

ただし、占有者は時効完成後に自分の所有物であると主張(援用)する必要があります。

この取得時効完成を妨げる場合は、取得時効完成前に明け渡し請求などを行わなければいけません。

 

〇消滅時効

消滅時効とは、借金返済請求等一定期間ある権利を行使しない場合に、その権利が消滅するというものです。

消滅時効は、債権債務状態になった権利が消滅する時効ということです。

◎民法改正

今回の民法改正で大きく変わったところは消滅時効になります。

以前までの民法では、権利を行使できる時から10年間行使しないときに消滅時効が成立していましたが、改正後民法では、①「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」②「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」以上の場合に消滅時効が成立するということになりました。

この民法改正は消滅時効までの期間がバラバラであったものをより分かりやすくする狙いもあり、例えば工事業者・設計士の報酬に関して、民法改正前の場合、時効期間は3年となっていましたが、民法改正後は時効期間が権利を行使できる時から10年・権利を行使できることを知った時から5年となりました。

しかし、例外もあります。

「人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権」・「不法行為に基づく損害賠償請求権」に関しては、民法改正後の時効期間が、権利を行使することができる時から20年・権利を行使することができることを知った時から5年というようになっています。

 

以上のように民法改正で時効(特に消滅時効)は大きく時効期間に変更がありました。

時効には中断・停止等その完成を阻止、又は完成までの期間を延長するなどの方法があります。

何らかの債権を持つ予定のある方は、民法改正において時効期間が変更になったことを知っておいても良いのではないでしょうか?