賃貸の火災保険について…加入しないとどうなる?

◎そもそも火災保険とは

住宅・テナント・倉庫など物件を賃貸する際、火災保険の加入が義務付けされているなどということがよくあるのではないだろうか?

しかし、その火災保険の内容をよく知らずに加入している借主が大半だと思います。

私も初めて賃貸物件へ入居するときは、火災保険について良く知らず、流れに任せて加入していました。

結局、今でも当時の火災保険の内容については解らず仕舞いです。

まず、火災保険とは何でしょうか?

火災保険とは、言葉の通り「火災」に対するリスクへの備えです。

火災が起きてしまった場合のオーナーへの賠償責任に対して、文字通り保険をかけているのです。

 

一般的に火災保険の対象となるものは、その「物件自体」と物件の中にある「家財」などになります。しかし、賃貸で借主が加入する火災保険はこの「家財」の部分を対象にリスクヘッジを行っています。

「物件自体」に対する火災保険は基本的にその物件のオーナーが加入しているため、借主が「物件全体」まで保険を掛ける必要はありません。

そして、この借主の火災保険は、「家財保険」「借家人賠償責任保険」「個人賠償責任保険」の3点セットが基本です。

◎火災保険の3点セット

この3点セットは住居の賃貸の場合、基本的にセットとなっています。

倉庫やテナントの場合は「家財保険」への加入が必須となっていたり、合わせて「借家人賠償責任保険」への加入が必須となっている場合もあります。

 

〇「家財保険」

「家財保険」とは、その名の通り火災・落雷・風災・漏水などで家財に被害が及んだ際に補償する保険です。

うっかり起こしてしまった火災などで室内の家具家電などに被害が出た場合に補償を受けることができます。

では、もらい火など自己の責任にない火災の場合はどうでしょうか?

もらい火などでの火災は出火元の加害者に重大な過失がある場合、加害者へ損害賠償請求が可能です。

しかし、逆に言えば重大な過失がない場合、加害者へ損害賠償請求はできません。

このような加害者に重大な過失がない場合、被害者は損害賠償責任ができないというものを「失火責任法」という法律で定めています。

そのため、もらい火で家財に被害があった場合でも、自己負担となることがあります。

「家財保険」は火災保険のメインです。しっかり加入することをおすすめします。

 

〇「借家人賠償責任保険」

「借家人賠償責任保険」とは、火災などの原因で生じた、部屋への被害に対するオーナーへの保険です。

前述したように、重大な過失がなければ法律上は損害賠償をしなくてよいのですが、例外があります。それは、オーナーへの賠償責任です。

賃貸借契約には基本的に原状回復が条件に入っています。借主は借主の過失による傷や汚れなどの修繕を負担しなくてはいけません。この原状回復に「失火責任法」は適用されません。

そのため、床や壁などの被害箇所を元通りにする費用は借主負担となるわけです。

「借家人賠償責任保険」はこれを補償します。

 

〇「個人賠償責任保険」

「個人賠償責任保険」とは、事故やトラブルなどで他人へ被害を及ぼした際に、その他人への保険です。

例えば、漏水などで下階住居人の家電に被害が出た場合や、トラブルなどで他人にけがを負わせた場合などです。

このような場合にその対象者への損害賠償責任が発生します。

「個人賠償責任保険」はこれを補償します。

 

◎加入しないとどうなる?

住居の賃貸借契約の場合、法律上は火災保険に加入しなくてはいけないということはありません。

しかし、ほとんどの場合物件を借りる条件として火災保険加入が必要となっています。

もしも、この火災保険へ加入しなかった場合、前述した補償が受けられなくなります。

そのため、もし火災に巻き込まれた場合や火災を起こしてしまった場合、又は漏水や自然災害があった際、不利益を被る可能性があることを理解しないといけません。

 

火災保険はオーナーを守るだけでなく、自身を守るのにも役立つものです。

だからこそ、いざという時に備えて加入しておくことが大切です。

そのうえで、自分の加入している火災保険の補償内容を知っておくことが大切となってきます。